Q 顕微鏡は普通の歯科医院では使っていないのですか?

A 通常の歯科医院さんでも顕微鏡は使用しますが、マイクロスコープは肉眼の30倍という高倍率で術野を診る事が出来ますので、治療の精度=質が格段に上がります。 

日本でも導入されている医院さんも少しずつ増えていますが、いまだに全体の5%位です。(2012年時点)
しかし、様々な意味で今後はマイクロスコープを使い、治療後に動画によって説明するのが当り前になる時代が必ずくるでしょう。 (これを書いたのは2003年のことでした) 
2013年、10年前と比較してもマイクロスコープの必要性は、多くの歯科医師あるいは歯科医療関係者に認知されています。 もはや歯科治療にマイクロスコープは不要だなどという歯科医師はいないでしょう。
「顕微鏡で何がみえるんだ?顕微鏡なんて必要ない」
2001年、僕自身が同業の先輩歯科医師に言われたことは、12年の歳月を経て、今の時代とは全く逆方向の言葉になりました。 
この10年は、歯科医療関係者に顕微鏡の必要性を認知させる時代でした。
今後の10年はそれを知った歯科医療従事者が、患者さんにその必要性を認知させる時代です。
顕微鏡とは違う部分も多いですが、拡大という意味においては「拡大鏡=ルーペ」も歯科治療の中で広く認知されています。
「顕微鏡」 「C.T.」 「CAD/CAM」 と、この10年、患者さんの知らないとことで歯科医療は大きな大きな進歩を遂げてきました。 おそらく、そのような部分では今世紀最大の進歩でしょう。 
しかし、顕微鏡も、拡大鏡にも最も大切なことがあります。 

それは、「使おうとする者の気持ち」 なのです。

「時代がこうだから、みんなが持っているから自分だけ持っていないのは恥ずかしい・・」
「CT持っていなかったら、インプラントなんてできない」
「顕微鏡使わなかったから根管なんて見えるはずがない」 

そうではないんだ。そうじゃないんだ。 
顕微鏡もC.T.もCAD/CAMも、日常臨床の延長で、

「こんなにきちんと治療したのに何故、うまくいかないのだろう?」
「この治療をもっと的確にするには、こういう器具(器械)があったらいいな・・」
「このことがわからない。知りたいけど、この分野に精通している先生はどういう先生かな?どんな講習会があるのかな?どのような本が出版されているのかな?調べてみよう!」 
そんな気持ちから全ては始まるのです。 
もし、それがなかったら、 「3種の神器」 も 「3種の”塵”器」になってしまいます。
実際、顕微鏡を使ってなくても素晴らしい治療をされている先生を、僕はたくさん知っています。 
設備は最高。しかし、それを使うのは人間です。
”持っている”のと ”使っている”のでは大きく異なります。 
”モラル” ”良心” ”誠意” 様々な言葉が頭に浮かびますが、何が ”良心”なのかということを自問自答してみると、 「顕微鏡を使って、自分がみたことを、治療結果として患者さんに還元すること」 それが自分にできることなのだと思います。
それを良心と呼ぶか誠意と呼ぶか、これは自分では判断しかねます。
「一生懸命やるのは当たり前・・・」 
17年前に患者さんに言われた言葉。
当時は正直、頭にきました。でも、今はその通りだと思っています。

Q 顕微鏡を使うと何ができるのですか?

A 術野の状態が、肉眼とは比較にならないくらい、詳細に判りますので、精度の高い治療を行う事が出来ます。

  もっと簡単に説明すると・・・ 
  真っ暗な闇の中であなたは、針の穴に糸をとおせますか?
  もし、通せたとしても、これは経験年数によるものなのでしょうか? 
  あるいは、手先が器用だからのでしょうか?目がいいからなのでしょうか? 
  おそらくすべてが違います。それは ”偶然” なのです。 
  では、明るい室内で同じことをやればどうでしょうか? 
  ほとんどの人が的確に作業を終えることができると思います。 
  お子さんの歯を磨いた経験がある方も多いでしょう。 
  自分の膝の上に寝かせて、磨いてみて、見えにくい場所はどこですか?
  歯科医師や歯科衛生士もあなたと同じです。 誰でも見えにくい場所は見えにくいのです。
  歯科医師だからみえるなんてことはありません。
  顕微鏡はその暗闇に ”光” をもたらすと同時にその場所を ”拡大” してくれるのです。 
  だから結果的に正確な治療を行うことが可能になるのです。
  一般的には時間がかかると考えられがちですが、 すべての治療においてそうではなく、むしろ、見えているので、短時

」 間で治療を終えられることも多々あります。

Q 普通の治療より時間がかかるのですか?

A 普通という言い方が適切かどうかがですが,日本の保険診療の時間が早すぎるという言い方もできます。

  本来,きちんとした診断や治療をするためには,むしろ,妥当な時間だと考えています。

  早く,正確に,丁寧にそれをできる人間はいないと思います。患者さんも多種多様です。治療がしやす 

  い方もいれば,しにくい方もいます。

  しかし、肉眼で治療を行ったせいで十分な治療が行われず、何度も医院に通う事になってしまうのに比べれば結果とし

  て歯の治療に使う時間も費用も短くなると考えています。

  

拡大するということ

肉眼でみると横の線にしかみえませんが、拡大するとNIPPONGINKOの文字の羅列であることがわかります。肉眼では不可能ですが、拡大すれば(約20倍)、Gという文字を的確に示すことも可能です。

歯を削っている所を拡大した写真 器具も通常診療では使わない細い物を使うことも多くなります。

たびたび見ることですが、歯と歯肉の間に歯磨き粉の粒が残留しています。 
これは我々からみると、あまり良くないことです。メーカーの説明では「粉砕される」となっていますが、 粉砕されないことが多いのが事実です。

30倍でみた上顎洞粘膜。クレスタル・アプローチも器具や手技がかわることになります。 もちろん、患者さんの負担(腫れや痛み)も軽減されることになります。

抜歯しなくても大丈夫

装着されているクラウンと歯の間には許容できない隙間がみられます。 
それを除去すると…

クラウンの隙間から入った汚れやセメントがたくさん残っています。

顕微鏡を使って綺麗にすれば、この通り!まだまだ大丈夫!!

肉眼で見えなければいい、という訳ではありません。
不適合が原因で、見えている地の部分がまた虫歯菌に浸食され、結果的に再治療を必要とする事態にまで陥ってしまうケースが多々発生しています。 治療においても見えないものは手の施しようがないのです。

根管治療(俗に“根の治療”とか“神経の治療”といわれるもの)は、保険治療では時間がかかった割には痛みがとれなかったりすることがありますが、4本の神経を治療したが、実は5本神経が通っていた等、見えていないが故の理由であったりします

虫歯治療

セラミックによる補綴物をいれるために、虫歯を除去し、適切な形成を施した後(左図)とセラミックが挿入され、合着された後の歯との適合(フィット)を観察しています。顕微鏡で拡大してこのレベルであれば、それほど虫歯の再発はおきないでしょう。

合金の詰め物を外すと大きな虫歯があります。これも歯と歯の間の虫歯なので、顕微鏡を使わないと確実に見ることは不可能です。

だいぶ黒ずんでいますが、どこまで虫歯は大きくなっているのでしょうか?

歯肉の下まで虫歯が進行しています。
これをしっかり削り取らないといわゆる2次齲蝕(再発)になります。